製塩土器が出土 縄文人のグルメ感①

2012年06月13日

神戸縄文土器クラブです。

重要なスパイス「塩」

 今日は縄文時代の食生活についてお話したいと思います。今では当たり前のように使われている調味料、「塩」。縄文時代には土器による「製塩」が行われていました。縄文時代における食糧調達方法はそのほとんどが狩猟によるものであったため、農耕が始まる晩期から弥生時代になるまでは動物の血や肉から塩分を摂取していたそうです。穀物からは十分な塩分を摂取することが難しいため、時代とともに農耕民族へと移行するにあたり、塩分を必要とするようになりました。なぜならば人間の必須栄養素であるカリウムの血中濃度を調整するために塩化ナトリウム、すなわち「塩」が重要な働きをするためなのです。
製塩土器が出土 縄文人のグルメ感①
※重要文化財(考古資料)|多賀城市|東北歴史博物館蔵、製塩土器(宮城県HPより)

「製塩土器」の制作について

 製塩土器はその特徴として、他の縄文土器に比べ非常に薄く作られています。通常約6mの縄文土器に対し、製塩用の土器は3mmと半分の厚みになっています。熱伝導効率を上げるために薄くつくられました。当時は「海藻」を利用した塩分の高い鹹水(かんすい)を土器で煮詰めて「塩」を作っていたとされています。1960年代に関東で「製塩」を専業とした遺跡が発掘されている。
製塩土器が出土 縄文人のグルメ感①
※園生貝塚研究会HPより

製塩土器は使い捨て?

遺跡から見つかる「製塩土器」の多くは粉々に砕かれたものばかりが破片として出土しています。現在のように粒状の「塩」が流通してたのではなく、「製塩土器」ごと塩が内側に付着した状態で流通していたと考えられています。そして、土器から掻きだされた「塩」が残った部分(土器片)をそのまま鍋に入れ使用することもあったため砕かれたと思われます。




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Posted by 神戸縄文土器クラブ at 19:30│Comments(0)縄文時代 の人と土器
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