「神像筒形土器」いよいよ完成!

2013年05月24日

神戸縄文土器クラブです。

昨年から取り掛かっていた、井戸尻考古館所蔵の「筒形神像土器」がいよいよ完成しました。考古館の方から資料をお送りいただき、細かい部分までの再現を試み、2年越しの制作になりました。

今回が試作と言う訳では有りませんが、今後55.2cmの実物大に挑戦します。
「神像筒形土器」いよいよ完成!
「神像筒形土器」いよいよ完成!



















「神像筒形土器」


 円筒形の土器に抱きつくような格好で造形された神像ないし人像。頭部は中空で、口縁上に戴かれる。その髪はうなじの左右に束ね分ける。肩から背中は逆三角形。顔面はふつう、双環もしくは双孔の目だけ。これが、当時の人々が共通に思い描いていた或る神の風貌である。
 こんにち土器全体の全形をとどめるもの、または器形を窺い得るもの10例弱がしられる。藤内の作品は下半身の表現はないものの、これらの頂点に立つ。
 眼は正面の円孔が左眼。口縁に沿うような縦方向に空けられた雫形の孔が右眼であり、目尻は蕨手状に巻く。よく似た表現の眼は、双眼を戴く土器にはいくつかみられる。
 まりのように膨れる両肩は、実は土器の内面からつづく半球形の空洞となっている。すなわちそれは腋の下の凹み、腋窩(えきか)である。そこから下方に発する両の腕は、やはり中空。土器を抱くようにして内側へ巻く。
 半球形の洞穴は乳房状口縁のそれと同じことで、やはり天体の潜むところとみなされよう。さらに両腕のかたちは有孔鍔付土器のそれによく似て、月の生長と減殺の軌跡を表す。
 左巻きに収斂する動きの右腕が生長に、右巻きに収斂する動きの左腕が減殺にあてられる。それゆえ右の腋窩は望月の籠るところとみられる。
 ところで、北西アメリカの諸侯やアフリカのサン族に伝わる神話では、カラスの翼の下や「太陽の男」の腋の下に月と太陽が隠されていて、世界は闇と寒さに閉ざされているが、この者らから天体が放たれることによって光明がもたらされる。
 似たような話はマレー半島のセマン族にも伝えられ、古代の中国と日本にもある。日神アマテラスは御子のアカツノミコトを常に腋の下に抱いてかわいがっていたという。
 望月は日輪に通ずることから、この像はそうした神話の所産であり、日と月の創造神と目される。

(※井戸尻考古館提供資料より抜粋)


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Posted by 神戸縄文土器クラブ at 20:30│Comments(0)制作中土器
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